京都府山岳連盟 積雪期遭難対策講習会

UPDATE 2023-02-21


【日 程】 2023/02/19(日)
【参加者】 会員6名(内訳:スタッフとして3名。参加者として3名)+会員外1名
【コース】 比良 正面谷トイレ前広場
【記 者】 里山


雪山の遭難対策講習会に参加。ところが、集合場所の駐車場に雪はなく、終始雨だったので雪のある標高まで登らず、駐車場に設営したタープの下で雨をしのぎながらの雪なし講習会となりました。

現場で体験しながら学ぶはずだった「雪崩事故に遭遇した場合のビーコン捜索」については、予定通りのプログラムにはなりませんでしたが、それでもスタッフの皆さんの機転のおかげで、講習会初参加の私にとっては、学びの多い体験となりました。雪山登山を少しかじり「雪山ってきれい!」としか思っていない登山者にとって、実感の持ちにくい「雪山遭難」への対策ですが、相手は自然ですから「何が起こるかわからない!」と考えておくべきだなと思いました。

講習内容の中でも、「低体温症と搬送担架の作成」については、夏山事故でも必要な内容です。
まず低体温症を防ぐには、体が震えているうちに対処することが重要。対処法は「体温を外へ奪われない工夫をすること」と「甘いものを食べること=自分の体で体温を作り出すためのカロリーを摂取すること」。症状が進んで体が震えなくなったら、それはエネルギーの枯渇と自力回復が出来なくなった事を意味するそうです。そして有効な方法として、「プラティパス」などのソフトな水筒にお湯を入れて作った「湯たんぽ」で体幹部を温める方法が紹介されました。

写真はツエルトを使った「搬送担架」の作成風景です。断熱のために空気の層が何重にもなるように、できるだけ多くのもので傷病者の体を包んでいます。ツエルトは、引っ張り強度の高い布でできていて、ツエルトを持って人を持ち上げても、雪の上を引きずっても大丈夫なほど強いです。倒れた人の全身を包むためには、2~3人用の大きさのツエルトが必要になります。結んでいるひもはたくさんのスリングとカラビナ。普段の山行で一人でこれだけの道具を担ぐのは重いです。当会で言っている「それぞれが最低限これだけのスリングとカラビナを携行しよう。そうすれば、万一の時にみんなの道具を合わせれば対処できることが増えるだろう。」の良い例だと思います。

講習会を受けると、ロープワークや特別な方法に目が奪われます。もちろん、そんな方法が使えれば良いですが、完全でなくとも「こんなのだったかな⁇」でも人数が集まれば、お互いを守る方策になると思います。山岳連盟の遭難対策委員会が年間を通して講習会を行ってくれます。会の山行とは別に、たくさんの人が積極的に講習会に参加してくださると心強いです。(事務局より)

 

 

 

ツエルト上から、下のカラビナにスリングを結んでいます。
ツエルトから傷病者が滑り出ないように、傷病者本人のハーネスにつないだスリングも一緒に結びます。